ブランディングの意味とは?メリットや手順・ポイントまで徹底解説
マーケティング施策の一環として、ブランディングが重要だと感じている方は、多いでしょう。しかし、ブランディングとはどのような意味なのか改めて聞かれたら、答えられないケースも多いかもしれません。
そこでこの記事では、ブランディングとは何か、実施することにどんな意味があるのかを解説します。ブランディングを実施する手順や、実施のポイントも解説しますので、ブランディングの意味を知りたい方や実施するメリットを知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
ブランディングとは
ブランディングとは、企業や商品に対するイメージや認知度を向上させるための活動を意味しています。簡単にいえば、ブランド力を向上させるための活動です。
ブランディングとは何か、下記4つの観点から詳しく解説します。
- そもそもブランドとは何か
- ブランディングの種類
- ブランディングとマーケティングの違い
- ブランディングとプロモーションの違い
そもそもブランドとは何か
そもそもブランドとは、消費者から特定の商品やサービスとして認知されている状態のことを指します。他社の商品やサービスと明確な差があり、それを消費者が認識している状態ともいえるでしょう。
大手の企業が販売している商品や、有名で名が知られている商品だけがブランドではありません。それほど認知度が高くなくても、商品やサービスを知っている人がある程度共通の認識を持てるものであればブランドといえます。
ブランディングの種類
ブランディングは、次の2つの軸で分類できます。
- 「何を」ブランディングするか
- 「誰に」ブランディングするか
それぞれ、詳しく解説します。
「何を」ブランディングするかによる分類
何をブランディングするかによって、ブランディングは次の2種類に分けられます。
- サービスブランディング
- 企業ブランディング
サービスブランディングとは、商品やサービス単位で行うブランディングのことです。消費者が認知しているイメージと、商品やサービスが提供している価値を一致させるために行います。
企業ブランディングとは、企業そのもののブランディングのことです。消費者や取引先、社員など、あらゆるステークホルダーに対して、企業の印象を向上させるために行います。
「誰に」ブランディングするかによる分類
誰にブランディングするかによる分類では、ブランディングは次の2種類に分けられます。
- インナーブランディング
- アウターブランディング
インナーブランディングとは、従業員に対して行うブランディングです。自分が働いている企業に対して共感や愛着を持ってもらい、従業員満足度やモチベーションを高めるために行います。
アウターブランディングとは、消費者や顧客に向けたブランディングです。商品や企業のイメージを定着させるために行います。アウターブランディングを行うことで、企業やサービスに対する認知度や好感度のアップが期待できるのです。また、アウターブランディングの実施は、ファンを増やすことにもつながります。そのため、アウターブランディングは、収益に直結するブランディングともいえます。
ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングと混同されやすいものに、マーケティングがあります。
マーケティングとは、商品やサービスの価値を伝えるとともに、商品を売るための仕組みを作る活動です。それに対してブランディングは、消費者に対して企業や商品、サービスのイメージを伝えながら、その認知度を高めるための活動を指します。
ブランディングによってイメージや認知度が高まると、商品は売れやすくなります。そのため、ブランディングはマーケティング活動の一環でもあるのです。
ブランディングとプロモーションの違い
プロモーションも、ブランディングと勘違いされやすい活動です。
プロモーションとは、販売を促進するための活動です。ブランディングは、ここまでに解説した通りイメージや認知度を高めるための活動を指します。
「買ってもらう」ことに重点を置いているのがプロモーション、「知ってもらう」ことに重点を置いているのがブランディングと言い換えることもできます。
また、どちらも売るための仕組みを作るための活動でもあるため、ブランディング、プロモーションともにマーケティング活動の一環といえるのです。
ブランディングのメリット
ブランディングには、次のようなメリットがあります。
- 顧客に対する価値の向上
- 影響力の向上
- 利益率の向上
それぞれ、詳しく解説します。
顧客に対する価値の向上
ブランディングを実施すると、商品の「情緒的価値」を高められます。
消費者が感じる価値には「機能的価値」と「情緒的価値」の2種類があります。
機能的価値とは、商品やサービスの機能に対して感じる価値のことです。
それに対して情緒的価値とは、消費者の感情に訴える価値のことを指します。
変わったり、無くなったりしても利用に支障がないものが情緒的価値と考えるとわかりやすいでしょう。例えば、多くの場合デザインは情緒的価値です。デザインが変わっても使用するのに支障がないにも関わらず、消費者がデザイン性の高いものを購入する場合、デザインに対して情緒的価値を感じているといえます。
「共感できる」もしくは「好きだと思える」ブランドを使うと、消費者は満足感を得られます。これも、情緒的価値の一種です。ブランディングを行い商品やサービスの情緒的価値を高めることで、顧客に対して提供する価値を向上できるのです。
昨今、使い勝手の良い商品やサービスは数多くあります。そのため、機能的価値で差別化するのは難しいケースも多いでしょう。しかし、情緒的価値であれば、差別化できる可能性は大いにあります。
影響力の向上
ブランディングによってブランドの価値が高まると、同時に影響力を高められます。影響力を高められれば、商品やサービスを取り巻く環境が変わる可能性があります。
例えば、ブランディングによって商品やサービスのファンが増えれば、SNS上での口コミが増え、今まで知られていなかった層にも商品の情報が届くというケースもあり得るのです。
ブランディングによって獲得した影響力を活かして、さらにブランド力を高めたり、商品の販売数を増やしたりできる可能性もあります。
利益率の向上
ブランド力が高まるということは、ファンが増えることと同義です。そのため、ブランド力が高まるとプロモーションに費用をかけなくても「新商品を発売した」と告知を出すだけである程度の販売数が見込めます。また、ファンが告知を拡散してくれることも考えられるでしょう。
また、ブランド力が高い商品は、ある程度価格が高くてもファンに購入してもらえます。そのため価格競争に巻き込まれることがありません。
上記2つの理由から、ブランディングによって利益率の向上が期待できるのです。
ブランディングを行う手順
ブランディングは、次の手順で進めましょう。
- 自社の状況を客観的に分析する
- ターゲットを決定する
- ブランディングの方向性を決める
- 実際に発信して反応を確認する
それぞれ、詳しく解説します。
自社の状況を客観的に分析する
まずは、自社の状況を客観的に分析し、強みやアピールポイントを把握しましょう。とはいえ、自社の状況を客観的に知るのは難しいものです。3C分析やSTP分析などのフレームワークを活用しながら、状況を確認してみてください。
その他の分析手法については下記記事を参考にご覧ください。
STP分析とは?マーケティング戦略に必要な理由と注意点を解説
ターゲットを決定する
次に、自社の状況を分析した結果を踏まえて、ターゲットを決めましょう。自社の強みやアピールポイントは、どのようなターゲットに刺さるのか考えてみましょう。このとき、ペルソナを設定するとターゲットを具体的にイメージしやすくなります。
ペルソナ設計については、次の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
ペルソナ設計とは?メリットや設計方法・コツをわかりやすく解説
ブランディングの方向性を決める
ターゲットが決まったら、ブランディングの方向性を定めましょう。まずは、ターゲットにどのようなイメージを持ってもらいたいかを決定します。
その決定をもとに、ブランドロゴやブランドカラーを決めましょう。ロゴやカラーが、ターゲットに持ってもらいたいイメージとズレがないか、確認しながら進めることも重要です。
また、どんなメディアで情報発信するかもブランドイメージに関わります。テレビCMや雑誌、SNSなどさまざまな手段があるため、この時点で検討しておきましょう。
実際に発信して反応を確認する
準備が整ったら、実際に発信を始めます。しかし、どんなに調査や分析を重ねても、ユーザーから良い反応が得られるとは限りません。また、ユーザーの反応はよい分析の材料でもあります。
そのため、情報発信をしながら分析と軌道修正を重ね、ユーザーから良い反応が得られるよう改善しましょう。ただし、軌道修正の際にブランドコンセプトからズレが生じないよう注意してください。
ブランディングのポイント
ブランディングを成功させるためには、次の3つのポイントをおさえておきましょう。
- ターゲットについて深くリサーチしておく
- 自社ブランドがターゲットにとってどのような立ち位置か知っておく
- 自己満足にならないよう注意する
それぞれ、詳しく解説します。
ターゲットについて深くリサーチしておく
ブランディングの際には、ターゲットのリサーチが欠かせません。ターゲットに対して理解が浅いと、思い込みでブランディングを進めてしまうことがあるのです。
思い込みのターゲット像は、実際のターゲット像とずれる可能性があります。そのため、ターゲットに対してヒアリングを行うなど、入念なリサーチが重要です。
自社ブランドがターゲットにとってどのような立ち位置か知っておく
ターゲットの目線から見て、自社ブランドがどのように認知されているのか、事前に確認しておきましょう。イメージがゼロの状態から、新たに認知させイメージを高めるのは難しいものです。また、今までのイメージと正反対のブランディングを行った場合、ユーザーの混乱を招いてしまうこともあるでしょう。
そのため、ターゲットにとって自社ブランドがどのような立ち位置か把握するとともに、強みを発展させてブランディングを進めるのがおすすめです。
自己満足にならないよう注意する
せっかくブランドを作り上げても、それがターゲットに伝わっていなければ意味がありません。しかし、ターゲットに伝わっているかどうかを確認せず、自分たちがしたい発信をするだけで満足してしまうケースも少なくありません。
発信して満足するのではなく、ターゲットにどれだけ届いたかを確認し、自己満足にならないよう注意しましょう。
コンセプトを明確にする
ブランドコンセプトとは、顧客にどのような価値を与えるかを短いフレーズで言語化したものです。キャッチコピーとは違い、その文章だけでだれが見てもどのような価値を感じられるのかすぐわかるのが特徴です。
有名なところで言えば、Dysonでは「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というブランドコンセプトを採用しています。
ブランドコンセプトを明確にし、どんなときもそれに沿っているか確認することで、一貫性のある商品開発やプロモーション、マーケティングに役立ちます。
キャッチコピーについては下記の記事で詳しく解説していますので是非ご覧ください。
すぐには結果につながらないことを知っておく
ブランディングは、始めてすぐに効果が出るものではありません。効果が出るまでには、長い時間がかかります。じっくりブランドを育てていくイメージで、ブランディングに取り組むことが重要です。
まとめ
この記事では、ブランディングについて解説しました。ブランディングとは、自社ブランドに対するイメージを向上させ、認知度を高めるための行動です。ブランド力が高まることによって利益率や影響力の向上が期待できます。
ブランディングを行う際には、ターゲットについて深く知り、自己満足にならないよう注意しながら進めましょう。この記事を参考に、自社のブランディングについて考えてみてください。