ストーリーボードとは?メリットや適したフレーム数を徹底解説
目次
ストーリーボードとは
ストーリーボードとは、商品・サービスを体験したユーザーを画像やイラストを用いてストーリー化する描写手法です。
汎用性が高く、さまざまな場面で利用できるツールとして活用されています。
ストーリーボードの特徴は、下記の3つです。
- ストーリーを視覚化する
- UXをテキストではなく、ビジュアルで説明する
- 商品・サービスを評価・理解・検討しやすくなる
例えば1つのUXを複数のイラストで分割して表現する際には、それぞれのコマを象徴するイラストと、心境・状況を説明するセリフやナレーションで構成されます。
コマの数に制限はありませんが、ユーザーの感じた価値に焦点を当てる場合、価値を伝えるために必要なシーンは4コマが多い傾向です。
ストーリーボードの目的
続いて、ストーリーボードの目的を6つ解説します。
- アイデアの具体化
- アイデアの評価
- ユーザー視点をソリューションとして検討
- 体験価値へのフォーカス
- アイデアの検証
- 第三者にアイデアを共有
ひとつずつ解説していきます。
アイデアの具体化
ストーリーボードの目的は、アイデアを具体化するためです。
アイデアを構想する初期段階では、下記に陥る可能性があります。
- アイデア自体が抽象的・表面的・断片的になる
- 抽象度が高くなるため、受け取る側の認識にバラつきが生じる
そのため、実際にアイデアを評価・共有する際は具体化しなければなりません。
ユーザーが感じる価値や抱えている課題をストーリー化して、具体的なアイデアをイメージできる点が、ストーリーボードの目的のひとつです。
アイデアの評価
ストーリーボードの目的として、アイデアの評価が挙げられます。
そもそも、抽象度が高い段階のアイデアを正確に評価することは難しいです。
しかしストーリーボードの活用によって、評価者がアイデアを擬似体験できたり、評価しやすい環境を作れたりします。
つまり、アイデアやイメージを具体化したうえで評価できる手法といえるでしょう。
ユーザー視点をソリューションとして検討
ストーリーボードの目的は、ユーザー視点によるソリューションの検討です。
例えば、UXデザインのユーザーリサーチに取り組んできたチームであれば、下記の傾向があります。
- ソリューションを検討する段階で、技術側の視点になる
- 自らの得意分野であるため、ユーザー側の視点へ変更できない
しかしストーリーボードを活用することで、技術側の視点だけに焦点を当てるのではなく、「技術を活用してなにができるか」「ユーザー側のメリット」を具体的に描写できます。
そのため、ユーザー視点でのソリューション検討が可能です。
体験価値へのフォーカス
ストーリーボードには、体験で生まれた価値にフォーカスする目的があります。
UXデザインの体験は、下記の3つにレイヤー分けされています。
- 価値
- 行動
- 操作
上記のなかで重要視される層は、「価値」です。
「ユーザーがどういった体験を求めているか」を視点に保てるため、ストーリーボードは、体験価値へのフォーカスに適しています。
アイデアの検証
ストーリーボードの目的は、アイデアの検証です。
例えばアイデアがどれだけ革新的であっても、下記の状態に陥る可能性があります。
- 実際に体験しなければ分からない
- 具体的にイメージできないので、良し悪しを見極められない
しかしストーリーボードを導入することで、描写体験に対するアンケートを実施できたり、アイデアを評価できたりします。
言い換えれば、ストーリーボードの作成時点で魅力的に感じられない体験は、プロジェクトを進めてもよい結果を生みづらいと言えるでしょう。
そのため、アイデアを検討する段階での評価や磨き込みが重要です。
第三者にアイデアを共有
ストーリーボードには、第三者にアイデアを共有する目的があります。
検討段階であればアイデアは抽象的になってしまうので、聞き手によって異なる解釈をする可能性が高いです。
場合によっては、プロジェクトが進行するに従って、「個々の認識が大きくズレていた」といったケースも考えられるでしょう。
そのためストーリーボードを活用することで、個々の認識や下記に挙げるユーザーが得られる体験を整理できます。
- 何に困っているのか
- 結果として何を感じたいのか
- どういった環境や状況にいるのか
- 商品・サービスを利用して何をしたいのか
アイデアを具体化できれば、漠然となりやすいイメージも第三者に共有できるはずです。
ストーリーボードのメリット
ここまで、ストーリーボードの目的をお伝えしました。
続いて、ストーリーボードのメリットを3つ解説します。
- 顧客のインサイトを発見できる
- 顧客の感情を視覚化できる
- プレゼンテーション資料として活用できる
それぞれ解説していきます。
顧客のインサイトを発見できる
ストーリーボードのメリットは、顧客のインサイトを発見できる点です。
具体的に顧客のインサイトを発見するメリットとして、下記が挙げられます。
- 顧客が自覚していない深層心理にある欲求や本音を把握できる
- 欲求や本音を満たすことで、唯一無二の存在として評価を得られる
つまりストーリーボードの活用によって、顧客が「自社の商品・サービスをどのように利用しているか」「どういった価値を求めているか」を深く理解できます。
顧客の感情を視覚化できる
ストーリーボードには、顧客の感情を視覚化できるメリットがあります。
顧客の感情や経験の視覚化によって得られる効果は、下記の2つです。
- 今より高い顧客満足度を獲得できる
- 創意工夫によって、新しい価値を提供できる
ストーリーを通じて、顧客の課題・解決策を理解できるため、さらに効果が高い商品・サービスのキャンペーンを展開できるでしょう。
プレゼンテーション資料として活用できる
ストーリーボードは、プレゼンテーション資料として活用できる点がメリットです。
特にアイデアや概念を理解する際は、最も効果的な方法が視覚化とされています。
具体的にプレゼンテーション資料として活用するメリットは、下記の2つです。
- テキスト中心の資料よりも記憶への定着力が高い
- 共感する登場人物がいた場合、多くの顧客から共感を得やすい
そのためストーリーボードを資料として活用することで、顧客だけでなく、ステークホルダーの興味も惹きつけられるでしょう。
ストーリーボードに適したフレーム数
ストーリーボードに適しているフレーム数は、シチュエーションによって異なります。
例えば、企業が新規商品を企画する際には、多くのフレーム数が必要です。
実際にストーリーボードを作成するにあたって、使用すべきフレーム例は下記をご覧ください。
- 顧客の課題はなにか
- 自社商品の用途はなんなのか
- 自社商品の利用者は、どういった顧客なのか
- どういった機能が受け入れられる・受け入れられないか
一方Instagramでストーリーボードを活用する場合は、企業の商品企画よりもフレーム数は多くありません。
しかし、顧客課題やターゲット設定は直面する可能性が高いため、向き合う必要があるでしょう。
こちらの記事では、商品・サービスを設計する際に欠かせない「ペルソナ設計」の目的やメリット、具体的な方法を解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
「ペルソナ設計とは?メリットや設計方法・コツをわかりやすく解説」
ストーリーボードの作成手順
ここまで、ストーリーボードに適したフレーム数を解説しました。
続いて、ストーリーボードの作成手順を紹介します。
- 問題を明確にする
- シナリオのゴールを決める
- 具体的な解決策を決める
- ストーリーをテキストに書き起こす
- イラスト化する
ひとつずつ紹介していきます。
問題を明確にする
ストーリーボードを作成するには、まず問題点を明確にしましょう。
プロジェクトは顧客の問題を解決するために検討する必要があるので、下記の点を意識しながら問題の洗い出し・整理を行います。
洗い出し・整理する際のポイントは、下記の通りです。
- 問題が事実に基づいているか
- 解決すべき問題が何なのか明確にする
例えば顧客インタビューから得られた情報の場合、信頼度が高い一次情報といえるでしょう。
最初に定義された問題点が、ストーリーボード作成のスタート地点となるので覚えておきましょう。
シナリオのゴールを決める
問題が明確になったら、シナリオのゴールを決めましょう。
シナリオのゴールを決める際は、顧客の問題を解決するために、下記の3つを意識する必要があります。
- 新規性:これまでにない体験であるか
- 魅力性:これ以上の体験が得られないか
- 意外性:常識をくつがえす体験であるか
ただ顧客の問題を解決するだけではなく、「最高の体験をできた状態であるか」を考えながらシナリオのゴールを思い描きましょう。
具体的な解決策を決める
シナリオのゴールが決まったら、具体的な解決策を考えていきます。
解決策を出す際のポイントは、下記の2つです。
- 多様な属性メンバーで取り組む
- さまざまな視点からアイデアを出す
多くのアイデアを出すために、プロジェクトメンバーだけでなく、他部署のメンバーを巻き込む方法も検討しましょう。
また社外にあるカフェやミーティングスペースなど、普段と違う環境で考えるのも有効です。
ストーリーをテキストに書き起こす
まとめたアイデアや情報をストーリーとして、テキストに書き起こしていきます。
最初はテキストだけで、スタートからゴールまでの各コマを書き起こしてみましょう。
4コマで書き起こす際の、コマごとでのポイントは下記の通りです。
書き起こす際のポイント | |
1コマ目 | 顧客が抱えている問題を挙げる |
2コマ目〜3コマ目 | 問題を解決する道のりを示す |
4コマ目 | 問題が解決された状態を提示する |
前述したように、コマの数に制限はありませんが、1コマ目と4コマ目は「顧客の問題」と「問題が解決された状態」を挙げましょう。
イラスト化する
ストーリーをテキストとして書き起こしたら、イラストを描き加えて完成させましょう。
またイラスト化する際には、セリフやナレーションを加えると、下記の効果が得られます。
- セリフ:顧客の心理を表現できる
- ナレーション:シチュエーションを補足説明できる
イラストを描き終えたあとは、通し読みをして「ストーリーから顧客の感じる体験・価値が読み取れているか」を確認しましょう。
あくまでも「ストーリーボードの作成」ではなく、「プロジェクトの価値が具体化されていること」がゴールである点を忘れずに、必要に応じて修正を行います。
ストーリーボードは顧客体験を視覚的に見せられる
今回は、ストーリーボードの特徴やメリット、適したフレーム数などを解説しました。
ストーリーボードとは、商品・サービスを体験したユーザーを画像やイラストを用いてストーリ化する描写手法です。
活用する目的として、下記の6つがあるとお伝えしました。
- アイデアの具体化
- アイデアの評価
- ユーザー視点をソリューションとして検討
- 体験価値へのフォーカス
- アイデアの検証
- 第三者にアイデアを共有
また企業側のメリットには、「顧客のインサイトを発見できる」「顧客の感情を視覚化できる」などがあります。
本記事でお伝えした適したフレーム数や作成手順も参考にしながら、自社に適したストーリーボードを作成しましょう。
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