ディレクションとは?Webディレクターの仕事内容と必要なスキル
Web業界には「Webディレクター」と呼ばれる役割があります。
しかし、Webディレクターはどんな仕事をするのかよくわからないと感じている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、そもそもディレクションとは何か、Webディレクターの仕事内容といった事柄について解説。さらに、Webディレクターに求められるスキルや知識も紹介します。
Web業界のディレクションについて知りたい人は、ぜひご覧ください。
目次
ディレクションとは
まずは、ディレクションとは何か知っておきましょう。ディレクションについて、次の4つの項目に沿って解説します。
- 「ディレクション」の言葉の定義
- Web業界におけるディレクション
- ディレクションとマネジメントの違い
- ディレクションとプロデュースの違い
「ディレクション」の言葉の定義
「ディレクション」とは、直訳すると「方向」や「方角」といった言葉です。日本では、方針を示すことから現場での指導や管理の意味で使われることが多くあります。
Web業界におけるディレクション
Web業界でディレクションを担う人は「Webディレクター」と呼ばれます。
Webディレクターの主な役割はプロジェクトの指揮・管理です。プロジェクトがスムーズに進行するよう計画を立て、管理し、トラブルがあれば対処します。
ディレクションとマネジメントの違い
ディレクションとは、案件がスムーズに進むよう管理することです。それに対してマネジメントは、経営面からコストや売上などを管理することを指します。
ただしITの現場では、ディレクターとマネージャーが厳密に分けられていないことも多くあります。企業によって定義や業務範囲が異なるため、一言で「ディレクター」「マネージャー」といってもケースによって業務内容が異なることは知っておかなければなりません。
ディレクションとプロデュースの違い
Web開発の現場においては、ディレクターだけでなくプロデューサーというポジションが設置されることもあります。
プロデュースとは、マーケティングやコンセプト設計、計画の立案までを行う概念です。プロデューサーは、プロジェクトの統括的な役割を担います。
それに対してディレクターは、制作現場の責任者としての役割を担います。プロデューサーが作成したコンセプトを元に、どのようなWebサイトを作るか、デザインやコンテンツの内容、運用方法などを具体化するのがディレクターの仕事です。
Webディレクターの仕事内容
Webディレクターの仕事は、主に次の4つです。
- 要件定義・設計
- プロジェクトの進行・管理
- クオリティチェック
- Webサイトの運用・分析・改善
それぞれ、詳しく解説します。
要件定義・設計
要件定義では、何のためにWebサイトを作るのか、ターゲットは誰か、どのような数値目標を設定するかといった項目をクライアントとすりあわせます。さらにこの段階で、サイトにどのような機能をつけるのかおおまかな方向性も決めておきます。
クライアントと制作側の両者が合意できたら、その内容をまとめておくのが「要件定義書」と呼ばれる書類です。書類としてまとめておくことで、実際に制作するスタッフとも共有しやすくなります。
要件定義を元に、目的を達成するためのWebサイトを設計するのもWebディレクターの役割です。目的を達成するためにはどのようなページが必要なのか、クライアントが求めている機能をどこに搭載するか、ページ同士をどのように繋ぐか等を考え、Webサイトの構造を決めます。
プロジェクトの進行・管理
プロジェクトが円滑に進むように管理するのも、Webディレクターの役割です。
プロジェクト進行のために、まずは必要なタスクを洗い出し、各タスクをどのように進めるかスケジュールを決めます。タスクは必ずしもスケジュール通りに進むとは限らないため、予備日も設定しておかなければなりません。
進行中は、プロジェクトがスケジュール通りに進んでいるか、問題が起きていないか確認・管理します。スムーズに進行できていない場合には、対応策を考え、実行しなければなりません。
クオリティチェック
Webディレクターは、コンテンツの品質管理も実施します。クオリティチェックでは、次のようなポイントの確認が必要です。
- 事前に決めた要件に沿ったサイトになっているか
- 問題のないデザインか
- 意図した通りに機能するか
クオリティチェックの際に迷わないよう、事前にデザインに関するルールや動作環境などを決め、周知しておくことも重要です。ルールが事前に決まっていれば、作業者による品質のブレも減らせます。
ディレクターだけがチェックを行うのではなく、エンジニアやデザイナーなどにもチェックを依頼しましょう。こまめにチェックを入れれば、最後になってから大幅な修正が発生するのを避けられます。とはいえ、あまりにこまめにチェックしすぎると多大な労力が必要となってしまうため、どのプロセスで品質管理を行うべきか、事前に考え調整しておきましょう。
Webサイトの運用・分析・改善
Webサイトを構築するだけでなく、運用や分析・改善もWebディレクターの仕事です。Webサイトは、運用して初めてユーザー行動などのデータを収集できるようになります。データと事前に設定した目標値を照らし合わせ、目標に届いていない部分があれば改善します。
仮説と検証を繰り返し、運用しながら常により良いサイトを目指して改善を続けなければなりません。
ディレクションに必要なスキル
適切なディレクションを行うためには、さまざまなスキルが必要です。Webディレクターに必要なスキルは、主に次の6つです。
- コミュニケーションスキル
- スケジュール管理
- 予算管理
- リーダーシップ
- 判断力・決断力
- 柔軟性
それぞれ、詳しく解説します。
コミュニケーションスキル
Webディレクターは、チームのまとめ役を担うことがあります。
チームには多くの人が所属し、それぞれ違った個性を持っています。まとまりのあるチームを作るためには、まず自分がメンバーの個性や得意分野を把握し、各個人の能力を引き出せるよう動かなければなりません。
また、クライアントからヒアリングをする場では、相手の意図をくみ取り適切な提案ができなければなりません。
そのため、Webディレクターにはコミュニケーション能力が求められます。
スケジュール管理
納期に間に合うようにプロジェクトを進行するのも、Webディレクターの役割です。
Webサイトを構築する際には、どこか1箇所だけでも遅れが発生すると、それが全体の遅れにつながることがあります。そうならないようスケジュールを組み立て、予定通り進行できているか常に確認しながら進めなければなりません。
もちろん早く完成すればそれで良いわけではなく、品質の良いものを作り上げることも必要です。品質を保ちながら納期までに成果物を作り上げなければならないため、Webディレクターにはスケジュール管理スキルが求められます。
予算管理
チームの構造や企業によっては、Web ディレクターが予算を管理する場合もあります。全体の費用から、各工程にどの程度予算を振り分けるかを決めるのです。
かかる予算が少なければ少ないほど良いというわけではありません。品質の高い成果物を作るためには、ある程度の予算が必要です。
決められた予算内で、どれだけクオリティの高い成果物を作り上げられるかが、Webディレクターの腕の見せどころともいえるでしょう。
そのため、Webディレクターには予算管理スキルが欠かせません。
リーダーシップ
Webディレクターは、チームの指揮を執るのが仕事です。そのためWebディレクターには、チームをまとめるリーダーシップが求められます。
方針を示してメンバーに共有するとともに、適切な指示やフォローができなければなりません。リーダーシップのあるWebディレクターがいれば、各メンバーが力を発揮し、良い成果物を作れる可能性が高まります。
判断力・決断力
Webディレクターは、いざという時に判断や決断を迫られることがあります。
例えば、チーム内で意見が割れた時や、想定外のトラブルが起きた時にはどうすべきか、Webディレクターが考えなければならない場面も多いものです。判断力や決断力がなく、どっちつかずのままに進めてしまうと、プロジェクトが空中分解してしまう可能性もあります。
そのため、Webディレクターには判断力や決断力が必要なのです。
柔軟性
プロジェクトを円滑に進めるためには、柔軟に対応しなければならない場合もあります。
スムーズに進んでいるときは問題ありませんが、トラブルや想定外の事態が起きた場合、決まったことを決まった通りに進めるだけでは対処できないケースも少なくありません。柔軟な発想をもって、どのように対処すべきか考え、実際に行動することが重要です。
そのため、Webディレクターには柔軟性が求められます。
Webディレクターに求められる知識
Webディレクターには、次のような知識も求められます。
- Webデザインの知識
- プログラミングの知識
- UI/UXデザインの知識
- SEOの知識
- マーケティングの知識
これらすべてについて、プロフェッショナル並の知識を備えている必要はありません。しかしクオリティチェックをしなければならない以上、ある程度の知識は必要です。
それぞれの知識について、なぜ必要なのか、どの程度の知識があればよいのか解説します。
Webデザインの知識
Webデザインは、Web制作において欠かせない要素です。
Webディレクターは品質管理の時点で、デザインに問題がないか確認できなければなりません。そのため、問題があれば見抜ける程度の知識を持っている必要があります。
また、Webディレクター自身がデザインを作れるほどのスキルを持っている必要はありませんが、IllustratorやPhotoshopなどWebデザインによく使われるツールに関して基礎的な操作を覚え「各ツールで何ができるのか」は知っておくとよいでしょう。
プログラミングの知識
Webディレクター自身がプログラミングをする機会はあまりありません。
しかし、Webサイトの構築ではあらゆるところでプログラミングが活用されています。基礎的な知識を持っているだけでも、エンジニアとのコミュニケーションが円滑になり、指示が出しやすくなります。
万が一トラブルが起きた時には、ディレクター自身が対応できる程度のスキルがあるとなおよいでしょう。
UI/UXデザインの知識
Webサイトは、使いやすいものでなければ人が離れてしまいます。
Webディレクターは、クオリティチェックの際にUI/UXを意識したサイトになっているか判断できなければなりません。Webディレクター自身がUI/UXの知識を持っていなければ、どのようにWebサイトを構築・修正すべきか指示を出せないでしょう。
そのため、WebディレクターにはUI/UXの知識が求められます。
SEOの知識
SEOとは、検索エンジン最適化のことを指します。
検索エンジンで上位に表示できなければ、Webサイトに人を集められません。Webサイトを作る目的はさまざまですが、多くの場合サイトに人を集められなければ目的を達成できないのです。
上位表示のためにはWebサイト内に品質が高いコンテンツを設置することももちろん重要ですが、それだけでは不足しています。コンテンツを正しく検索エンジンに認識してもらうためには、さまざまな対策が必要です。
それらの対策をどのようにWebサイトに組み込むか指示を出し、実際に組み込まれているか確認するために、SEOの知識は欠かせません。
マーケティングの知識
Webマーケティングにはさまざまな手法があります。Webサイトの構築自体もマーケティングの一環ですし、運用の中ではさらにさまざまなマーケティングを組み合わせることもあるでしょう。
予算内でWebサイトの目的を達成するために、どのようなマーケティングを行うべきか考えなければなりません。そのためWebディレクターには、基本的なWebマーケティングの手法を知っていること、さらに集めたデータを分析し、次に活かすための知識が求められます。
まとめ
この記事では、主にWeb業界でのディレクションについて解説しました。
ディレクションとは「方向」や「方角」を指す言葉で、Web業界ではプロジェクトを進行・管理することを指します。スムーズなプロジェクト進行のため、Webディレクターにはさまざまなスキルが求められます。
この記事を参考に、自社のWebディレクターについて考えてみてください。