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img投稿日: 2022.09.29
img最終更新日: 2024.01.19

STP分析とは?マーケティング戦略に必要な理由と注意点を解説

STP分析がマーケティング戦略に必要な理由と注意点

STP分析は、自社商品・サービスを購入して貰うためのマーケティング戦略として効果的な分析方法です。

自社商品・サービスを購入してもらうためには、ターゲットとするユーザーが、どのくらい存在するのか知る必要があります。

また年代・地域・性別・ライフスタイルを限定する事で、より精度の高い分析を行なうことができ、ユーザーが欲しい自社商品・サービスを開発する事が可能になるでしょう。

STP分析は、これらの分析を可能にしたマーケティング戦略です。

STP分析を使う事で、ターゲットが存在する市場を把握し、ユーザが本当に欲しい商品・サービスを開発・販売する事が出来ます。また、自社の立ち位置を把握する事で、競合他社への差別化を図る事が可能になり、効果的なマーケティング戦略が行なえます。

今回は、STP分析の基礎を中心に、STP分析がマーケティング戦略に必要な理由と注意点について紹介させて頂きます。今後のマーケティング戦略の参考になれば幸いです。

STP分析とは

STP分析とは、マーケティング論で有名なフィリップ・コトラー氏が提唱したマーケティング戦略の1つです。

STP分析は、セグメンテーション(細分化)、ターゲティング(市場の確定)、ポジショニング(位置づけ)の頭文字をとって「STP」と言われており、マーケティング戦略の基本中の基本となります。

STP分析は新しく自社商品・サービスを販売する時に必要不可欠なマーケティング戦略です。セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングには次の役割があります。

  • セグメンテーションで、市場に存在するユーザーを細かく分ける
  • ターゲティングで、アプローチするユーザーを明確にする
  • ポジショニングで、自社・競合他社の立ち位置を確認し、差別化を図りながら商品・サービスの開発・販売をする。
STP分析の概略図

STP分析を行う意義

STP分析を使う事で、ユーザーを出来るだけ細かく分け、販売する商品・サービスをアプローチするユーザー層を見つける事ができます。さらに、自社・競合他社の立ち位置が明確になり、ユーザーに興味・関心を持ってもらえる様な、より良い商品・サービスを提供する事が可能になるでしょう。

ユーザーにとって、より良い商品・サービスを開発・提供する為にも、STP分析の方法を知り、効果的なマーケティング戦略を行なうことが大切です。

STP分析の重要性とセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの項目に焦点をあてながら紹介させて頂きます。

セグメンテーションを行う際の4つのアプローチ方法

セグメンテーションを行う際の4つのアプローチ方法

セグメンテーションは、4つのアプローチ方法を使って市場を細かく分け、同じニーズを持つユーザー層をわかりやすくします。同じ20代女性でも、働いている職業や住んでいる地域、ライフスタイルや収入によってニーズや求めるものが違ってくるでしょう。

自社商品・サービスのニーズが高い市場はどこに存在するのか?

セグメンテーションで市場を細かくわける事で、自社商品・サービスがターゲットとするユーザー層を見つける事が可能です。

セグメンテーションを行うための代表的な4つのアプローチ方法をご紹介します。

デモグラフィック(人口統計的変数)

デモグラフィックとは、年齢・性別・家族構成・学歴・職歴など、統計に基づいたアプローチ方法です。ここで、どの年代や性別がどれくらいいるのか、どの学歴・職歴がどのくらいいるのか市場規模を確認します。

市場規模が小さい、または縮小傾向にある場合は、今後の売上に支障が出る場合もあります。また、市場規模が大きい・上昇傾向にある場合は、大手が参入しているので差別化を図る必要が出てきます。

ジオグラフィック(地理的変数)

ジオグラフィックは、国・市町村・気候・文化・宗教など地理的要因を国の調査結果などを参考に行うアプローチ方法です。年齢や性別は一緒でも国や・地域によってニーズやウォンツが違ってきます。

デモグラフィックとジオグラフィックを掛け合わせることで、どの国や地域にどの性別・年齢のユーザーがいるか更に細かくわける事が可能です。

雨が降らない所で傘が売れないように、気候・文化・宗教の違いは、販売する商品・サービスによって売れるもの・売れないものが極端に分かれる事もあります。

ジオグラフィックでは、地理的詳細までしっかりと把握する事が大事になるでしょう。

サイコグラフィック(心理的変数)

サイコグラフィックは、人の価値観・ライフスタイル・性格・購買動機など、心理的な部分を用いたアプローチ方法です。アンケート調査やヒアリングなどを行いニーズを見つけていきます。

30代女性の場合、結婚しているかしていないかでライフスタイルも価値観も変わってくるでしょう。内面的な心理状況は統計ではわからないので、アンケートやヒアリングが大変重要になってくるセグメントです。

心理的な要因は、商品・サービス購入に深くかかわってきます。宣伝広告などのアピールにも繋がってくる部分です。ここでユーザー心理のポイントを掴むことが出来れば、効果的な宣伝が可能になるでしょう。

ビヘイビアル(行動変数)

ビヘイビアルは、買い物頻度や買替のタイミング、使用用途などと言った行動に着目したアプローチ方法です。

たとえば、車の買替や商品の購入がどの様なタイミングで起きるかなどを、今までの購買データを基に分析します。

すると定期点検の際や車検の〇ヶ月前、何月に購入が多いかなど把握する事が可能です。

把握する事で事前にキャンペーン情報を送れたり、案内をするなど手を打つことが出来ます。

対象となるユーザーの購買行動を把握する事で、自社商品・サービスの販売を有利に進める事が出来るでしょう。

ターゲティングを使った3つのマーケティング戦略

ターゲティングを使った3つのマーケティング戦略

ターゲティングは、セグメンテーションで細かく分けたユーザー層に対して、自社商品・サービスに適したターゲットを見つける事です。セグメンテーションとターゲティングをセットで行なうことで細かく分けたユーザー層を選択し効果的なマーケティング戦略が行なえます。

ターゲティングには、無差別型マーケティング・差別型マーケティング・集中型マーケティングの3つのパターンに分かれています。

セグメンテーションによって細かく分けたユーザ層を、3つのパターンのどれか1つに落とし込む事で、有効なターゲットを見つけられるでしょう。

無差別型マーケティング  

無差別マーケティングは、セグメンテーションで細かく分けてユーザー層を無視して、同じ商品・サービスを販売していくマーケティング戦略です。

無差別マーケティングは、細かく分けたユーザー層を無視して行うため、広告宣伝費など大きな資金がかかります。

全国展開している飲食チェーン店などは、全国に幅広いユーザー層がいるため無差別型マーケティングは向いていますが、1つの地域などで展開している飲食店ではユーザー層が少なく無差別マーケティングは向いていません。

差別型マーケティング

差別型マーケティングは、セグメンテーションで細かく分けたユーザー層に対して、いくつかのターゲットに絞り、違う種類の商品・サービスを展開していくマーケティング戦略です。

いくつかのユーザー層をターゲットにする事で、ニーズやウォンツにあった自社商品・サービスを高い確率で販売する事が可能になります。

また、自社の商品・サービスを差別化する事によっても、効果を発揮します。例えば「食べ放題」は、コースに入っている食べ物の種類によって差別化しています。また近年流行っている「サブスクリプション」もランク別に内容を変える事で差別化しています。

この様に1つの商品の中で、ランク差をつける事で差別型マーケティングを行なう方法もあります。

集中型マーケティング

集中型マーケティングは、セグメンテーションで細かく分けたユーザー層を絞ってマーケティング戦略を行う方法です。ユーザー層を1つ、もしくは限られたユーザー層に集中する事で精度の高いマーケティング戦略が可能です。

集中型マーケティングは、ユーザー層の規模は小さいながらも、自社商品・サービスを販売したときの購入頻度が高いなど、自社商品の強みを最大限に活かせるでしょう。さらにファン化する事で、新しい商品・サービスを購入される可能性も高まります。

集中型マーケティングは、最初の切り口になるユーザー層は小さいかも知れませんが、そこで成功すれば自社の立ち位置が確立されます。

自社の立ち位置が確立されることで、次々に新商品・新サービスを販売する事が出来るので、将来的に様々なユーザー層への参入が期待できるようになるでしょう。

 自社の立ち位置を明確にするポジショニング

 自社の立ち位置を明確にするポジショニング

ポジショニングは、客観的視点で自社の立ち位置を把握する為に有効な手段です。セグメンテーションでユーザーを細かく分け、ターゲティングでユーザー層を選択しても、自社の立ち位置が明確でなければ的確な戦略は打てません。

ポジショニングを行う際は、「ポジショニングマップ」を作成する事をおすすめします。

ポジショニングマップを作成する事で、自社の立ち位置や競合他社の立ち位置が明確になり、商品の開発や宣伝が、より効果的に行なえるようになり、ユーザーの購入につながります。

ポジショニングマップには、自社商品・サービスのカテゴリ、価格帯などの価値、品質・味などを設け、競合他社・自社の立ち位置を確認します。全ての立ち位置が明確化する事で、差別化を図ったり付加価値をつけたり戦略を練る事ができるでしょう。

同じ市場に大手がいたとしても、大手と差別化する事ができ、効果的なマーケティング戦略を行なえます。

まずは、しっかり立ち位置を明確にし、どんなサービスが望ましいか、どんな商品を顧客が必要としているのか、マーケティング戦略を練り、自社商品・サービスを成功に導きましょう。

STP分析がマーケティングに必要な3つの理由

STP分析がマーケティングに必要な3つの理由

STP分析は、セグメンテーションでユーザー層を細かく分け、ターゲティングでユーザー層を明確にし、ポジションで自社の立ち位置を知る事が出来る重要なマーケティング戦略です。

自社商品・サービスを販売できるか、優れた施策を行なえるかどうかは、STP分析にかかっていると言えるでしょう。

STP分析がなぜマーケティングに必要か?代表的な3つの理由を紹介します。

 顧客・ニーズ・市場を整理し把握する

自社商品・サービスを開発・販売するためには、対象となるユーザーが居なければ成立しません。「自社商品・サービス=ペルソナ設定」が必要になります。

セグメンテーションでユーザー層を細かくわける事で、ペルソナ設定の基盤となるユーザーがどの程度市場に存在しているかを把握する事が出来ます。

ペルソナ設定をしなければ、どの様なユーザーに対して悩みや欲求などを満たす商品・サービスを開発・販売するべきか明確になりません。逆にペルソナを設定する事で、このユーザーにこの商品・サービスを提供しようというように明確になります。

ユーザー・ニーズ・市場を整理し把握する為には、STP分析のセグメンテーションでユーザー層を細かくわける事が必要不可欠です。また、ペルソナを明確にする事で、土台がしっかりしたマーケティング戦略が可能になるでしょう。

自社の戦略を明確にしスタッフで共有出来る

STP分析を利用すれば、マーケティング戦略を可視化する事ができ、スタッフ間で共通の認識を持つことができます。ただ単に商品・サービスを販売するといった抽象的な戦略では成果が出るまでに時間を要します。

しかし、STP分析でセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングとデータが可視化されます。可視化されたデータは、組織やチームのメンバーも自社のマーケティング戦略を共有・浸透しやすくなり、全員が同じ認識を持つことができます。

組織やチームで同じ認識を持つことは凄く大事なことです。1人でも認識が違えば歯車がかみ合わなくなり上手く回りません。言葉で伝えるにも、双方の受け取り方で違ってきます。

言葉で伝える事はもちろん大事ですが、STP分析データを基に同じ認識を持つようにしていきましょう。

競合他社との差別化を図る

自社の商品・サービスが初めての試みというのは稀ではないでしょうか?

必ずと言っていいほど、ターゲットとするユーザー層には競合他社がおり、その中でユーザーのシェアを獲得していかなければなりません。

STP分析の1つである。ポジショニングをマップを使って立ち位置を明確にする事で、商品内容・サービスなど差別化をはかる事が出来るようになります。

STP分析を使ってマーケティング戦略を行なえば、競合他社の立ち位置・サービス内容を知る事ができ、自社の商品・サービスを販売できる効果的な戦略を打つことが可能です。

 STP分析をマーケティングで使用する3つの注意点

STP分析をマーケティングで使用する3つの注意点

STP分析は、効果的なマーケティング戦略の1つですが、効果的に行なうためにも注意して頂きたい点が3つあります。

この3つに注意して頂くだけで、かなり効果的なマーケティング戦略を行なうことが可能です。

 STP分析を連動させて考える

STP分析は、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの項目から成り立っています。ポジショニングから始める事もあれば、ターゲティングを最初に始める事もあるでしょう。

特にSTP分析に順番はありません。しかし、STP分析の3項目は必ず連動して考えるようにしましょう。3項目の1つでも欠けると角度の高いSTP分析ができないだけでなく、マーケティング戦略としても不十分です。

ユーザー層を細かくわける事で、ターゲットを明確に出来ますし、自社の立ち位置も明確になりますので、しっかりと3項目を連動して戦略をたてるようにしていきましょう。

STP分析は、難しく考える必要はありません。まずは、どんな市場があるかのセグメンテーションから始めて、ターゲティング・ポジショニングと順番に行うと正確なマーケティングができます。

ビジネスチャンスがあるか市場を分析する

STP分析で明確なマーケティングが行なえたとしても、市場にビジネスチャンスがなければ、自社の商品・サービスを販売する事は出来ません。また、今後縮小していく市場であれば、同時に商品・サービスが売れなくなります。

市場規模・自社の立ち位置・市場の将来性は、ビジネスをする上で非常に重要です。どれだけのリスクがあり、どれだけのリターンがあるか、リスクマネジメントも重要になってきます。

STP分析で市場規模や自社の立ち位置を明確にしたうえで、今後ビジネスチャンスがあるかどうかSTP分析だけでなく、いろんな角度から考えて商品・サービスを企画・販売する事が必要です。

STP分析は優れたマーケティングですが、それだけに頼らずビジネスチャンスがある市場かどうか多方面から検討しましょう。

データに基づいた客観的な視点をもつ

セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングと、STP分析で導き出されたデータは嘘をつきません。

どんなに自社商品・サービスが良くても、それがユーザーのニーズやウォンツと相違があれば、誰も購入する事はないでしょう。

自社商品・サービスが良いと、自信が生れるのもわかりますし、絶対売れると思う事もあるでしょう。しかしデータは嘘をつきませんし、現実的な市場をデータは表してくれています。

STP分析をしっかり行う事で、ユーザーに指示される自社商品・サービスを有効かつ効果的に展開する事が出来ます。だからこそ慎重に正確に分析する事でSTP分析のクオリティが向上します。

データに基づいた客観的な視点を持つことで、角度の高いマーケティングを行ない、結果的にユーザーが求める商品・サービスを展開することが出来るでしょう。

まとめ

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