見込み顧客に刺さるキャッチコピーの作り方
目次
人は理屈ではなく感情で動く
世の中がこれだけたくさんのサービス、商品であふれている中で自分の商品を選んでもらうためには何が必要でしょうか?
それは感情を動かすという作業が必要です。優秀なマーケッターはみんな感情を動かす天才です。
そしてキャッチコピーには感情を動かす力があります。
顧客の心に「買う理由」を作る
アップルの創業者スティーブ・ジョブズはiPodの発表したときに印象的な言葉を残しています。
それまでCDプレイヤーでCDを持ち歩いていた人々はこの言葉に熱狂し、iPodを買い求めました。
「人気NO.1!」とか「○○GBで大容量!」といったように企業側が伝えたいことだけ言っていても顧客の心の中に「買う理由」は生まれません。
スティーブ・ジョブズのようにシンプルかつ短いセンテンスの中に人の感情を動かすということが出来れば売り上げは大きく変わります。
今回はこのキャッチコピーの作り方をいくつかのフレームワークや事例も含めてご紹介していきます。
ぜひ読んで頂き、キャッチコピーやコンセプトづくりの参考としていただけたら幸いです。
キャッチコピーを作るコツ
「キャッチコピーが作れる」というのはただ単に「言葉遊び」や「格好良いだけの言葉」ではなく、商品やサービスの真の価値を見極めて言葉にできることを指しています。
先ほどのスティーブ・ジョブズの事例でもあった通り良いキャッチコピーとはユーザーが購入後のメリットをイメージできるかどうかが重要です。
キャッチコピーの重要な3要素
では、実際にどのようなキャッチコピーを作れば顧客がメリットを感じるのでしょうか?
Webサイト、リアルに限らず「商品が売れない」という原因は主に3点あると考えられます。
まずはこの3点を整理することでキャッチコピーの土台が出来上がります。
その3点とは「誰に」「何を」「どう伝えるのか」です。
これを明確にすることがキャッチコピーを考える上で必要な事です。
以下、1つ1つ説明していきます。
ターゲットを明確にする(誰に)
「誰に売るのか」を明確にしましょう。商品を欲しいと思ってくれているターゲットを間違えてしまったらせっかくの商品も売れません。
改めて自社商品、サービスを欲しがっているお客様は誰なのかをしっかりと考えてみましょう。
お客様を絞り込む
その際、大切なのは「お客様を絞り込む」という作業です。
ついつい自社商品やサービスをいろいろな人に伝えたいという想いから、万人に向けて売ろうと考えてしまいがちです。
しかし、現代はモノやサービスがあふれかえっている時代です。戦後であれば売れますが、今のようにモノがあふれている時代には徹底的にお客様を絞り込んで「あなたのことですよ!」と自分事化させてあげないと買ってくれることは無いでしょう。
お客様を絞り込んだ事例
例えば弊社で制作したセレブリックス様のプロモーションキャストは「誰」の部分を「役者、 芸人 、歌手、ダンサー、声優の方々へ」と明確に記載しています。
実際にこうした呼びかけをすることにより、「あ、私のことだ」と意識してくれた人は、その下もスクロールしてちゃんと読み進めてくれる確率が上がります。
ユーザーは3秒で判断する
Webサイトの場合、ユーザーはこのメインビジュアル(ファーストビュー)で自分に関係ある内容かどうかを3秒で判断すると言われています。
また、ランディングページの場合は下にスクロールする人の割合はわずかに3割というデータもあります。これが見込み顧客に対して呼び掛けていなければさらに低いことは容易に想像つくでしょう。
「誰もがお客様です」では結局、誰にも売れないということですね。
商品やサービスの強みを考える(何を)
「何をウリにするのか」を明確にしましょう。
あなたの商品やサービスがお客様から選ばれる理由は何でしょうか?
まずは自社のウリをどのように見つけるのか考えていきましょう。
自社のウリを見つける方法
競合他社と比較する
中小企業は大手と同じことをしても絶対に勝てません。
大手の戦略は同じような商品を作って価格を安くするという強者の戦略であり、中小企業にとって安売りという戦略は自らを窮地に追いやる手となります。
また、市場において後発の企業は市場でトップのマーケットリーダーと同じ戦略を取ってはいけません。
その場合、少しだけウリとなるポイントをずらすなど様々な視点で試行錯誤して自社だけしか打ち出していない強みを考えていきましょう。
理想的なお客様は誰かを考える
自社サービスを使ってくれる最も理想的なお客さまを描いてみましょう。
たった一人の大切なお客様に届けたいと思って絞り込むことでメッセージの独自性が際立つものです。
また自社サービスを提供したときに喜んでくれたお客様を思い出してみましょう。
お客様との会話の中から何が喜んでくれるポイントだったのかを分析することで、自社の強みやウリが見えてくることがあります。
売っているモノではなく、価値で考えてみる
自社が売っているモノにとらわれてしまうと本質を見失ってしまいます。
改めて自社が売っている価値とはどのようなものなのか、少し視点を変えて考えてみると柔軟な発想がしやすくなります。
- 布団の販売 ⇒ 快適な睡眠を提供している
- ペットショップ ⇒ 癒しを提供している
- 人材派遣会社 ⇒ 会社の競争力強化を提供している
かつて、アメリカの鉄道会社が自社の事業を鉄道事業だと認識していたことでその後、自動車産業や飛行機産業に追いやられてしまったという話があります。
自社の事業を鉄道のみに固執してしまい、単なる「移動手段」とだけ価値を限定してしまうと、さらに便利なサービスが出てきたときに負けてしまいます。
例えば、他の移動手段にはない安全性に関する部分で万全の整備や車両への設備投資を行うことで「20年間、死亡事故ゼロ」といった形で安全性を重視する人たちへアピールすることもできたかもしれません。
改めて自社の提供している価値とは何なのかを考えてみましょう。
ユーザーのニーズを前提にイメージする
売り手とお客様のズレの例として、商品開発に携わった担当者で苦労された方ほど、商品の機能や特徴を伝えたくなってしまうものです。
例えば、iPodであれば「こんなに小さいのに大容量5GBで業界初!」といったキャッチを作ってしまいがちです。
そのようなときはお客様のニーズはどのようなものがあるのか、一度整理してみましょう。
- 時間の節約、労力削減
- 子供の教育、成長
- 家族、自身の健康
- 趣味に関連するもの
- 他では買えない製品
- オシャレ、美容
- 肥満、薄毛などのコンプレックス
- 不安、損失回避
- 業績アップ、コスト削減
キャッチコピーを考えるときはこうしたユーザーの課題やニーズを前提に考察していきましょう。
お客様が知りたいのはメリット
お客様が聞きたいのはすごい機能や特徴ではなく、それによって私はどう便利になるの?ということなのです。
つまりキャッチコピーは機能や特徴などではなく、お客様にとってのメリットを書くべきなのです。
前述した9つのユーザーニーズを踏まえた上で、その商品やサービスによって「課題が解決さる」「苦痛から逃れられる」「喜びが手に入る」ことをイメージして作成していきましょう。
これがキャッチコピーを作る上での2つ目のポイント「何をウリにするのか」の部分です。
ユーザーのメリットを伝えて普及したランサーズ
クラウドソーシングサイトで有名なランサーズの秋好社長が講演会で話していた事例も参考になります。
2008年当初、ランサーズは
「オンライン上でお仕事を依頼したい人と受けたい人がつながるクラウドソーシングサービスです」
と事業コンセプトの説明をしていたようです。
プレゼンしても100人中100人に「よくわからない」と言われたそうです。クラウドソーシングという言葉自体が新しすぎて世の中に浸透していないので初めて聞いた人はイメージ出来なかったということです。
そこで秋好社長はもしかしてこれは聞く側が自分事化出来ていないのではないかと考え、言い方を変えました。
「自社のロゴを2~3万円でデザイナーに発注できるサイトです」
それまでは企業からすればロゴは10万くらいかけるのが普通です。
「たったの2~3万円ならメリットありそうだ」と自分のメリットをイメージすることができるようになったということです。
クラウドソーシングなど新しい概念の難しい言葉を使うのではなく、ユーザーが日常使っている言語で「どのようなメリットがあるのか」を説明することで具体的なイメージが湧いたという好事例です。
キャッチコピーのテクニック(どう伝えるのか)
記憶され、売れるキャッチコピーには必ず強い言葉があると言われています。
強い言葉とは人の感情を湧きたたせるような言葉です。
その逆に弱い言葉とはどこか使い古されたようなありきたりな言葉です。
抽象的なので具体的な事例を出してみます。
テクニック① 手軽さをアピールする
例えば、マッチングアプリ「Dine」のメインビジュアルは「時間の節約、労力削減」をうまく使ったキャッチコピーと言えるでしょう。
Dineでは出会うまでに煩わしいメッセージのやり取りは一切不要という特徴があります。忙しい現代人にとって時間は何より大切です。それをうまく一言で表したキャッチコピーと言えるでしょう。
テクニック② 具体的な数字の訴求
すっきりフルーツ青汁のメインビジュアルのように「-10kg」「96.2%」など具体的な数字を出すことでお客様には明確なイメージが伝わりやすくなります。
注意点としてはお客様がその数字を聞いても惹かれないというものを効果は無いので気を付けてください。あくまでも見込み顧客が魅力的に感じる数字を並べていきましょう。
テクニック③ 擬音語や擬態語を使う
擬音語や擬態語をうまく使うことも効果的です。
例えば
- とっても辛い唐辛子サプリ
- 汗がドバっと出る唐辛子サプリ
を比較すると、②の方が感情が動きませんか?
このように「辛い」と直接言語化するのではなくて「汗がドバっと出る」というように副次的な効果を表現することで人間の脳はその状況をイメージします。
脳を直接刺激する言葉を選ぶことで刺さるキャッチを作ることが出来るのです。
テクニック④ 疑問形で問いかける
質問をされるとつい反応したり、答えを考えてしまうのが人間というものです。キャッチコピーを作る際もこの技術が使えます。
「。」で文章を終わらせるのではなく「?」で終わらせましょう。
例えば
- 話下手な彼が婚活に成功した理由を知りたくありませんか?
- 知っていますか?いつもの買い物がお得になる○○があることを。
このように問いかけると売り込みをされているというよりも、お得で役立つ情報提供をしてくれているという印象になります。
リスティング広告の広告文でもこうした言い方は効果を発揮します。
相手に語りかけることで考えてもらうというやり方です。
テクニック⑤ 名指しをする
具体的に呼びかけることで当てはまる人は反応してくれます。
ターゲットを細かく絞り込み、名指しで呼びかけてみましょう。
- 肌荒れが気になるあなたへ
- 最近、眠れないあなたへ
テクニック⑥ ワンメッセージで伝える
人がパッと理解できる文字数は13文字前後と言われています。
Webのメインビジュアルでもそうですが、あまりに長い文章などは読めません。
iPhoneがとても参考になります。
まとめ
今回のまとめですがキャッチコピーを作るには「誰に」「何を」「どう伝えるのか」をしっかりと作ってください。
これを作れれば8割はうまく言ったも同然です。
私自身もお客様から相談を受けるたびにLPやオウンドメディアを作る時にこれらを意識してキャッチや構成を考えています。
ぜひあなたのビジネスにも活かせる部分は取り入れてみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考図書:キャッチコピーの極意