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img投稿日: 2024.08.24
img最終更新日: 2024.08.24

共感マップとは?顧客を理解するための基本要素と使い方・作り方を解説

共感マップとは?顧客を理解するための基本要素と使い方・作り方を解説

商品やサービスを設計する際、ユーザーのことをよく知るために使われるツールのひとつが共感マップです。共感マップとはユーザーの普段の体験や感情をまとめたものですが、詳しいことはよく知らないという方も多いでしょう。

そこでこの記事では、共感マップとは何かを詳しく解説。さらに、共感マップを作成するメリットや作成手順も紹介します。

共感マップについて詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。

共感マップとは

共感マップとは、デザイン思考の手法のひとつです。ユーザーが通常している体験と感情を一枚のシートにまとめ、商品やサービスの開発に活かします。

ここでは、次の2つのポイントから、共感マップとは何かを解説します。

  • そもそも共感とは
  • 共感マップの6つの要素

そもそも共感とは

共感とは、相手と同じ感情を持つことです。

人間の感情は、商品やサービスの購入に大きく関わります。感情が動かなければ、何かを購入することはありません。そのため、ユーザーがどのような時にどのような感情を持つのか知っておくことが重要なのです。

相手の感情を想像し「こうだろう」と予測することは共感ではありません。例えば、自分も以前に同じような体験をしたことがあるなど、相手の感情を「わかる」と感じられるのが共感です。

ユーザーの感情をすべて把握することは難しいのですが、共感マップはユーザーを理解するためのサポートツールとして役立ちます

共感マップの6つの要素

共感マップは、次の6つの要素で構成されています。

SEE見ていること
HEAR聞いていること
THINK and FEEL考えていること・感じていること
SAY and DO言っていること・行動していること
PAIN悩み・ストレスに感じること
GAIN欲していること・幸せに感じること

ユーザーの属性や性格、生活習慣などの違いによって、上記の項目には大きな差が出ます。上記の6つの要素について、インタビューやブレストをもとに項目を埋め、自社の商品やサービスを利用するユーザーは、どのような感情を持っているのか理解します。

共感マップとペルソナの違い

共感マップと似たツールに、ペルソナがあります。

ペルソナと共感マップの違いは、ペルソナが人物の表面的な情報を多く扱うのに対して、共感マップはペルソナの内面に注目したものである点です。

そのため、共感マップを作る前にはまずペルソナを設計します。ペルソナがいなければ、どのような人を対象として感情を調査すればよいのかわかりません。共感マップを作るために、ペルソナは欠かせない存在です。

共感マップを作成する目的

共感マップの作成には、次のような目的があります。

  • ペルソナに対する理解を深めてユーザーのニーズを捉えるため
  • チームメンバー間の認識のズレを防ぐため
  • UIを最適化・改善・向上させるため

それぞれ、詳しく解説します。

ペルソナに対する理解を深めてユーザーのニーズを捉えるため

共感マップを作成すると、ペルソナの表面的な情報だけでなく、内面もわかるようになります。そのため共感マップを作成すると、ペルソナだけを設計したときよりもユーザーに対する理解を深められるのです。

ペルソナに対する具体的なイメージを作れると、ユーザーのニーズを捉えやすくなります。ユーザーのニーズを捉えれば、商品やサービスの開発・改善に活かせるでしょう。

チームメンバー間の認識のズレを防ぐため

ペルソナを設定しても、表面的なイメージだけではそのペルソナから想像するものがメンバー間で異なる可能性があります。共感マップがあれば、ペルソナに対するイメージをより深く提供・共有できます

つまり共感マップによって、ペルソナに対するチームメンバー間の認識のズレを防げるのです。

UIを最適化・改善・向上させるため

開発者側が使いやすいと感じているUIであっても、ユーザーにとっては使いにくいものとなっている可能性もあります。

共感マップを作成すると、よりユーザーに寄り添ってUIを考えられます。例えば、ユーザーがよく使っている競合他社の製品から乗り換えたときに、誤操作を起こしにくいボタン配置にすると、より快適に使えるでしょう。

共感マップを作成してペルソナを分析することは、ユーザーにとってより良いUIの開発につながります

共感マップの使い方

共感マップには主に次のような使い方があります。

  • カスタマージャーニーマップ作成の土台として活用する
  • 目に付くところに掲示してメンバー全員で確認する

それぞれ、詳しく解説します。

カスタマージャーニーマップ作成の土台として活用する

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品を知ってから購入するまでの経過をまとめたもののことです。カスタマージャーニーマップには、ユーザーの行動パターンや思考・感情を書き込み分析します。カスタマージャーニーマップがあることで、どの状態のユーザーにどのようなアプローチを行えば効果的なのか、戦略を立てられます。

共感マップがあれば、ユーザーの行動や感情を把握可能です。そのため共感マップは、カスタマージャーニーマップ作成の土台として役立てられます

目に付くところに掲示してメンバー全員で確認する

ペルソナからのヒアリングを実施したり、メンバー全員でペルソナの感情や行動について話し合ったりしても、その場で聞いただけでは内容を忘れてしまうこともあります。また、時間の経過によって無意識のうちにスタッフの思い込みが生じ、ズレが発生してしまうこともあるでしょう。

共感マップを目に付くところに掲示しておけば、上記のようなズレの発生を防げます。また、迷った時やズレを感じた時には、共感マップを確認して軌道修正も可能です

共感マップを作成する6つのステップ

共感マップの作成は、次の6ステップで進めます。

  • ペルソナを設計する
  • テンプレートを準備する
  • 共感マップを作成する目的を決める
  • ユーザーインタビューを実施する
  • テンプレートに沿って6つの要素を書き込む
  • ユーザーにインタビューして内容を精査する

それぞれ、詳しく解説します。

ペルソナを設計する

共感マップを作成する最初のステップは、ペルソナの設計です。ペルソナを設計するのに必要な項目を確認し、項目ごとに必要なデータを集めましょう。このとき、なるべく多くの項目を設定しておくと、共感マップの作成に役立ちます。

集めたデータをもとに人物のプロフィールを作成し、データに肉付けしてストーリーを構築すると、ペルソナを設計できます

ペルソナ設計については、次の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

ペルソナ設計とは?メリットや設計方法・コツをわかりやすく解説

テンプレートを準備する

共感マップには「SEE」「HEAR」「THINK and FEEL」「SAY and DO」「PAIN」「GAIN」という6つの要素を書き込みます。シンプルな表でまとめてもよいのですが、テンプレートを使ってまとめると視覚的によりわかりやすくなります

まずは、共感マップのテンプレートを用意しましょう。スライド作成アプリなどを使っても良いですし、テンプレートをダウンロードできるサイトもあるため活用してみてください。

共感マップを作成する目的を決める

共感マップの作成に取りかかる前に、何のために共感マップを作成するのか、目的を明確にしておきましょう。目的を明確にしておかないと、次のステップで実施するユーザーインタビューやブレストの方向性にズレが生じてしまう可能性があります

共感マップを作成する目的には、次のようなものがあります。

  • ユーザーがどんなときに自社製品を必要とするのか知りたい
  • ユーザーに刺さるアプローチの方法が知りたい
  • ユーザーが競合他社製品に感じている不満を知りたい

もちろんユーザーに関するより多くの情報を知ることは重要ですが、何を知りたいのか細かい部分まで考えておくことで、具体的に深掘りすべきポイントが見つかります。

ユーザーインタビューを実施する

目的が決まったら、その目的に沿ってユーザーにインタビューを実施しましょう。このインタビューは必須ではありませんが、実施するとより精度の高い共感マップを作成できます。

ペルソナの具体像が思い浮かびにくい場合には、ペルソナ設計の前にユーザーインタビューを実施する手順で進めても問題ありません。

基本的には、目的を念頭におきつつ共感マップのテンプレートをもとにインタビューの項目を考えます。開発する商品とかけ離れた質問にならないように注意しながら、質問項目を準備しましょう

テンプレートに沿って6つの要素を書き込む

ユーザーインタビューで得られた情報をもとに、共感マップのテンプレートに沿って6つの要素を書き込みましょう。ユーザーインタビューを実施していない場合には、チームメンバーでブレストし、6つの要素をそれぞれ書き込んでください

ユーザーにインタビューして内容を精査する

作成した共感マップをもとに、ユーザーに再度インタビューを行います。共感マップを作成するうちに、情報にズレが生じる場合があります。特に、事前のインタビューを実施せずにブレストのみで共感マップを作成した場合には、実際のユーザーとの乖離が起きやすいでしょう。

インタビューでズレを発見し、再度共感マップの内容を精査して完成させます

共感マップを作成する際の注意点

共感マップを作成する際には、次の点に注意しましょう。

  • ペルソナの情報を細かく設定する
  • 事業との関連性を考えながら作成する
  • 多くのメンバーで議論しながら作成する
  • 作成した共感マップを使い回さない
  • 必ずユーザーにヒアリングする

それぞれ詳しく解説します。

ペルソナの情報を細かく設定する

ペルソナの情報が少ないと、感情や見るもの、聞くものを想像しにくくなり、実際のユーザーと乖離が生まれやすくなります。また、インタビューの対象者を正確に絞り込むのも難しくなるでしょう。

ペルソナを設定する際には、年齢や性別だけでなく、家族構成や趣味、価値観など、情報を細かく設定してください

事業との関連性を考えながら作成する

共感マップに事業とまったく関係のない情報を記載してもあまり意味はありません。

共感マップに記載する情報を集めるときには、事業との関連性を意識すると良いでしょう。例えばリラックスグッズを販売するのであれば、疲れたと感じるのはどのような時か、イライラしたときどんな風にリフレッシュしているかといった情報を集めると役立つ可能性が高まります。

とはいえ、事業に関係がなさそうな情報を書いてはいけないわけではありません。できる限り事業を意識しながら情報を集めてみてください

多くのメンバーで議論しながら作成する

ブレストして共感マップを作成する場合、可能な限り多くのメンバーで議論するのが理想です。なぜなら、少数の意見だけで作成を進めると、意見の偏りが生まれがちなためです。

できるだけ多くの意見をまとめることで、偏りを減らせます。偏りが減ると、実際のユーザーと大きなズレが生じることを避けられるのです。

作成した共感マップを使い回さない

共感マップは、1製品に対して1つ作成しましょう。別の製品のために作った共感マップを使い回してはいけません。

製品ごとに、ユーザー像は異なります。また、同じ人であっても、時間の経過や環境の変化によって、考え方は変わるものです。共感マップを使い回すと、そうした変化を捉えきれずに、ユーザー像が古いものとなってしまいます。気付けば、実際のユーザー像と大きなズレが生じてしまうこともあるでしょう。

手間がかかると感じても、1つの商品に対して1つの共感マップを作成しながら開発を進めてください

必ずユーザーにヒアリングする

どんなに大人数で時間をかけて議論したとしても、ユーザーにインタビューせず作った共感マップは推測にすぎません。共感マップを作成する際には、必ずユーザーにヒアリングを行いましょう。

できれば、作成前の段階でヒアリングができると、メンバーもユーザーに対するイメージを深められます。難しい場合には、最低限内容の精査のタイミングだけでもヒアリングを実施してください。

まとめ

共感マップとは、ユーザーの体験や感情を1箇所にまとめて視覚化したものです。共感マップの作成は、的確にユーザーニーズを捉えるとともに、メンバー間でのイメージのズレを防ぐのに役立ちます

作成の際には、必ずユーザーへのインタビューを実施し、実態を確認しましょう。製品ひとつにつき1つの共感マップを作るのも、忘れてはいけないポイントです。

この記事を、自社での共感マップ作成にお役立ていただければ幸いです。

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