顎プロテーゼ の症例情報
完全オーダーメイド顎プロテーゼで、骨切手術レベルに顎先を前に出します!
顎先を前に出す「 オトガイ形成術 」はヒアルロン酸注入では、次第に減っていってしまうので、永久的な方法だとプロテーゼか骨切り手術になります。今回、プロテーゼはプロテーゼでも、CTから起こした完全オーダーメードプロテーゼで、顎先を18mmも前に出しました。これを解説しますね ☆
まず患者様の横顔に、患者様が希望する顎先を描いてもらいます。最近は、ご自身で画像加工をして「これくらい出したい!」と持って来られる方もいらっしゃいます。次に精密な3D-CTを撮影し、それと実際の横顔とをリンクさせ、どのようなデザインのプロテーゼにするか患者様と何度もやり取りをして決定していきます。
通常、プロテーゼで顎先を出す場合、限界は10mmです。それ以上になると骨切りで顎先を前に出す「オトガイ形成術」でなければ出来ないと言います。今回は、様々なリスクもありますが、患者様の強いご希望で18mmの高さのプロテーゼで顎先をしっかり前に出すことにしました。
これによって出来上がってきたプロテーゼが上図(↑)になります。完全オーダーメードプロテーゼの利点としては、顎先の骨にピッタリと吸い付くようにはまるので、通常のプロテーゼのように動いたり、偏移する可能性が極めて少なくなるのです。ではそのビッフォーアフターをご覧ください。
※術前の写真は前医でのヒアルロン酸が入っており、既に10mm高くなった状態です。手術中にヒアルロン酸を溶かしてプロテーゼを入れているので、実際には8mm高くなったようにしか見えません。
※術前の写真は前医でのヒアルロン酸が入っており、既に10mm高くなった状態です。
※術前の写真は前医でのヒアルロン酸が入っており、既に10mm高くなった状態です。
完全オーダーメードプロテーゼによって患者様の理想とする横顔シルエットが完成しました。
さて、10mm以上、顎先を前に出すには、通常「骨切り手術」が必要になると言われています。複雑な下顎骨の骨切りか、別の部位(腸骨など)から骨を持ってきて移植する大掛かりな手術が必要になります。それは金額的にも大変なので、「可能な限りプロテーゼで行いたい」と言う患者様の希望を組んで、ちょっと大きいとは思いますが、完全オーダーメードプロテーゼによってオトガイを前方向(ちょっとだけ下向き)に出すことに成功しました。
しかしながら、これだけ大きなプロテーゼを入れるといくつかの悪い副作用が考えられます。
① 創離開:口腔内の粘膜を切開して挿入するのですが、大きな体積のプロテーゼが入ると傷が引っ張られて閉じない可能性が出てきます。
② プロテーゼの偏移:顎先にさらにタワーを建てるようなものなので、ズレやすくなります。また長期的にみると骨融解が左右非対称に生じるため、プロテーゼが傾いてズレてくる可能性があります。
③ 下唇周辺の知覚鈍麻:オトガイ神経が引き延ばされることによって知覚異常が起こることがあります。